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若手社員5人が3年かけて作った「じゃがりこ」

古井龍
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古井龍
TRPGとライフハックをメインに取り上げる。 上級心理カウンセラーとダイエットアドバイザーの資格を持っている名状しがたい何か。

特徴的なデザインと楽しい食感のおいもスティック【じゃがりこ】美味しいですよね。
今回はこちらの商品のヒットしたポイントと開発秘話をお話しますね。

・若手社員5人の挑戦

まず、この商品はCalbeeの若手社員5人が開発しました。
一番年上でも当時31歳。そのほかのメンバーは大学を卒業して間もない入社2年目程度の社員だったそうです。

会社からの指示は「屋外消費型のスナック菓子」の開発。
開発を始めた90年代初頭は、スナック菓子市場は袋タイプが大半で、メーンターゲットは30-40代主婦、利用シーンは家で食べることがほとんどだったそうです。
屋外で食べられる設計にすれば利用場面が広がり市場を拡大できるのではないかと考え、「外で食べられるスナック菓子」の開発を任せられます。

また、90年代に入ると、スナック菓子市場は横ばいの状況が続いていました。市場を活性化させるには新しいタイプの商品が必要。そこで先入観や業界の常識にとらわれない、若手社員5人を選び、プロジェクトを任せます。

・コンセプトの決定

そこで開発社員は「外で食べられるスナック菓子」に加え、「生のジャガイモをつかった新しいスナック菓子」というコンセプトも組み込み、開発をスタートさせます。
ただ、「生のジャガイモをつかった新しいスナック菓子」というのが開発社員を後に悩ませます。

続いてターゲットの設定ですが、プロジェクトメンバーは女子高校生をメーンターゲットに据えました。
理由は、女子高生の層を押さえることができれば、彼女たちの情報発信力によって全世代に広がると思ったからです。

ただ、女子高校生が鞄の中に入れて外で食べられるようにするには、
従来のポテトチップスのような、じゃがいもを薄くスライスした形状では食べにくい。また、味付けのパウダーを上からかけた仕様では手が汚れてしまう。

これらの問題点を解決するため、形状はスティック型に、味付けは素材を生地に練り込む設計にしました。
屋外でも食べられるスナック菓子の利用シーンを考えると、メンバーの間に「みんなで楽しく食べる」というキーワードが浮かびます。楽しさをスナック菓子でどう表現したらいいかを考えました。

・楽しさを大切にする

この問いにメンバーが出した答えが「食感」でした。
ただ、この“楽しい=心地よい食感”が開発社員を苦しめます。
「生のじゃがいもを蒸して油で揚げる」というお菓子は当時カルビー社内でも例がなく、挑戦と失敗の連続で、最初はガリガリに堅くて食べられたものではありませんでした。

また、原料となるじゃがいもも生きているので、同じ品種でも熟度や貯蔵環境によって状態が変わり、苦労してようやく上手くいった!と思ったら次の日は全然上手くいかないこともよくあったそうです。

求める食感を開発するために独自の製造技術を開発、試作をしては消費者調査を繰り返す日々が続きます。開発社員は「開発期間のほとんどを、食感の研究に費やした」と言います。
試作を山のように重ね、ようやく「はじめにカリッとあとからサクサクの食感」にいきつきます。

1991年に開発を始め、そして1994年、独特な食感が特徴のスティック型ポテトスナックは発売されます。
ですが、この時の商品名は「じゃがりこ」ではなく「じゃがスティック」という商品名でした。

「じゃがスティック」の長さは現在のじゃがりこ(約70ミリメートル)の約2倍で、スティックの形状は円柱ではなく四角柱。パッケージは長方形の箱でした。

1994年に発売すると消費者から「長くてボロボロこぼれる」や「つまみにくい」などの声が寄せられたそうです。
消費者の要望を素直に受け止め、スティックの四角い形状を丸型に変え、長さも一口サイズの大きさにしました。
また、パッケージも従来の箱型からカップ型に変更します。

パッケージ変更の理由は「箱型だと外箱を開けた後、内袋を開けるため2回の手間が必要になる。その点カップ型だと、ふたを開けるだけで良く、利便性を高められる。もともと屋外で食べてもらいたいと思って開発した商品。自動車のドリンクホルダーにも入る容器の方が利用シーンは広がる」
と思ったそうです。

さらに「じゃがスティック」では一般名称のように響いてしまいブランドとして成立しない。という意見があり、商品名を考えなおします。

・りこは人名!?

そこで、開発者の友人にリカコさんという人がいたことを思い出します。
その人に試作品を食べてもらっている時に『じゃがいも』と『リカコ』を足して『じゃがりこ』という名前を思いつき、そのまま商品名にしてしまいました。

ええ。開発社員のインスピレーションで決まったようですね。
そして、1995年10月、カップに入ったスティック型ポテトスナック菓子「じゃがりこ」は発売します。
発売に合わせてCMを放映。サクサクした食感をダイレクトに伝えられるように、「じゃがりこ」という商品名を連呼して商品を食べるたけのシンプルな内容にします。CMの効果はてき面にあらわれ「CMを見て商品を知った人が約7割にのぼった」そうです。

また、スーパーなどの店頭では「カップ型スナック菓子」は当時珍しかったことから、持ち運べるメリットをアピールして、商品陳列を確保していく取り組みを行ったそうです。
マスメディアを使った戦略と店頭を回る地道な活動が功を奏し、売り上げは右肩上がりに伸びていきます。

順調に売り上げを伸ばしていったじゃがりこですが、2005年ころからブランド売上高が200億円前後で成熟期に入り、売上の伸び率がゆるやかになっていきました。

しかし、転機となったのが、11年に期間限定商品として発売された「たらこバター」でした。一般的にロングセラー商品ではフレーバー追加しても、効果は期待できないと思っていましたが、たらこバターは違いました。
通常の期間限定品の約2倍の売れ行きとなり、空前の大ヒットとなります。

12年6月からはコンビニ限定での定番品に“格上げ”されました。
また、定番サイズでは物足りないという消費者ニーズを受け、12年10月からは、スティックの長さが約85ミリメートルの「じゃがりこLサイズ」をコンビニ限定で販売します。
けっこう時間が経ってからLサイズができたんですね。
たらこバターとLサイズの投入効果がブランド全体に波及し、13年3月期のじゃがりこブランドの売上高は285億7700万円、売上高構成比は15.9%となり同社のポテトチップスブランドに次ぐ地位を占めるようになります。

これらの施策と並行してカップの高さの変更をしていきました。1995年発売時のカップの高さは110ミリメートルです。それに対して、スティックの長さは約70ミリメートル。「商品を開けると中が、すき間だらけのように感じた」との声が消費者から寄せられたといいます。
これを受けて、Calbeeはスティックが整列するよう改良を行い、04年にカップの高さを96ミリメートルにし、見た目にもボリュームが感じられるように工夫します。
さらに09年にはカップの高さを88ミリメートルに変更。よりコンパクトサイズにすることで携帯性を高めるとともにアルミや紙の使用量を減らし、環境配慮型のカップにします。1個あたり、紙とアルミの使用量が8%削減されたといいます。
当初のターゲットは女子高校生でしたが、今ではおじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんと一緒に食べたという手紙が同社に届くこともあるそうです。余談ですが、それぞれの商品にでてくるキリンは全て別キャラクターで、名前も違うってことご存知でしたか?

サラダはじゃがお。チーズはりかこ。じゃがバターはじゃが作。たらこバターはたら子。という名前がついています。CalbeeのHPで確認してみてください。

それでは、ヒットしたポイントをまとめますね。

  1. 「常識にとらわれない世代にプロジェクトを託し、活動を支援する環境を作る。」
  2. 「納得するまで試行錯誤を繰り返し行う。」
  3. 「消費者の声をすぐに商品に反映する。」
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