消費者の視点が考えられたデザイン「赤いきつね」「緑のたぬき」

人目を引くパッケージと、濃厚で香り高いダシ汁が人気の
「赤いきつね」「緑のたぬき」いまやカップ麺の代表格といっても過言ではありませんね!
こちらの商品のヒットしたポイントと開発秘話をお話しますね。
商品を販売しているのは「マルちゃん」でおなじみ【東洋水産】です。
同社は1975年に長年にわたって水産物を手掛けた技術とノウハウを使って、
業界初のカップ入り即席きつねうどん「カップきつねうどん」を販売しました。
当時、和風カップ麺は珍しく、この商品は大ヒット。
和風カップ麺の火付け役になったほどです。
ただ、これだけ有名になれば競合メーカーも黙っていません。
類似商品が出てきて、現在の地位を揺るがすのも時間の問題となります。
そこで、商品を一新したのが1978年に発売された「赤いきつね」です。
今でこそネーミングとパッケージの「赤」は消費者に染みついたイメージですが、試作の段階では
「熱いきつねうどん」
という名前でパッケージは「黄色」だったのはご存知でしょうか?
「熱いきつねうどん」というネーミングは《カップうどんのアツアツ感を表現するため》だったそうです。
色についてはいくつか候補があり、その1つが黄色だったのです。
しかし、パッケージ案の1つに、赤と白を基調したものがあり、そのデザインが好評だったこと、
「赤」と「きつね」は稲荷神社の鳥居というイメージ的にもぴったりだったことから、現在のデザインになったそうです。
また、真赤なパッケージは消費者の眼を引く。という効果も期待したそうです。
あと、当時は山口百恵さん主演のテレビドラマ「赤い迷路(1974年)」「赤い疑惑(1975年)」など「赤いシリーズ」が人気であり、「赤い」もしくは赤色に対して社会にも受け入れる素地が十分にあったという理由もあったそうですよ。
ちなみに「緑のたぬき」は1975年に販売された「カップきつねうどん」よりも前に販売されていたのはご存知ですか?
厳密にいうと、「緑のたぬき」のひな型的な商品がずっと前に販売していたんです。
「緑のたぬき」は、1963年に業界初の和風袋麺「たぬきそば」が原型にあたります。
それが70年に「マルちゃん天ぷらそば」として再販売。
そして75年に「カップ天ぷらそば」と進化を遂げていきます。
「赤いきつね」が大ヒットしたことをきっかけに80年に「緑のたぬき」とデザインを一新して販売されました。
緑色の理由は赤の正反対の位置に属する色だったからです。
ちなみに、「赤いきつね」と「緑のたぬき」どっちが人気があると思いますか?
「赤いきつね・緑のたぬき専用ページ」で確認していきましょう!
https://dotti.akamidori.jp/result/
上記のページにある【地域ごとの総得票数】をみると、
「北海道・東北(9,161票)」では赤5,048票・緑4,113票 ……。
「関東(18,153票)」では赤9,859票・緑8,294票 ……。
「中部(12,290票)」では赤6,775票・緑5,515票 ……。
「近畿(7,484票)」では赤4,163票・緑3,321票 ……。
「中国・四国(10,486票)」では赤5,657票・緑4,829票 ……。
「九州・沖縄」赤5,178票・緑4,229票 。となっています。
ちなみに、食べ終えたあと。カップの内側や底に黒い粒上のものが残っていた経験はありませんか?
これは細かく砕いた「鰹節そのもの」がたっぷりと入っている証拠なんですよ。
両商品には「華やかな風味のかつお荒節」と「香りが強いかつお荒節」の2種類がブレンドされているんです。
さらに、粉末にしたダシにはしっかりとサイズ規定があるんです。
今のサイズよりも大きくすると香り立ちが弱くなり、小さくすると、汁が濁ってしまい汚く見えてしまうからなんです。
また、かつお節を粉末にする際、一般的には熱処理加工を経て作りますが、
繊細なかつお節は加熱すると香りが飛んでしまうんです。
しかし、同社ではより良い香りを追及するために、試行錯誤の末、熱処理加工をせずにかつお節を粉末にする技術を開発しました。
余談ですが、「赤いきつね」「緑のたぬき」は地域の嗜好性にあわせてダシの原料や配合を変えているんです。
東日本ではかつお節ベースに醤油で仕上げたしっかりめの味わいに。
西日本では昆布だしにかつお節・煮干・雑節などをあわせたすっきりした味わいに。
北海道では北海道産利尻昆布をつかったまろやかな味わいに。
などなど、地域によって好まれる味つけにして提供しています。
(1)強みを生かした新たな取り組みをする。
(2)商品コンセプトとマッチしたデザインにする。
(3)品質をこだわりぬく。